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住宅ローンを組むことは生命保険代りになる?見直しのポイントも紹介

不動産お役立ち情報

柿本 剛司

筆者 柿本 剛司

住宅購入を考えている方にとって、「住宅ローンを組むことは生命保険の代わりになるのだろうか」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。大きな金額を借り入れる際に付帯する団体信用生命保険(団信)が、もしもの際に家族の負担を軽減する役割を持つことは広く知られています。しかし、団信と通常の生命保険にはどのような違いがあるのでしょうか。本記事では、住宅ローンと生命保険の違いや、それぞれがカバーできるリスク、保険の見直しポイントまで、分かりやすく解説します。住宅購入にともなう保険選びでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

住宅購入検討中の方に知ってほしい、住宅ローンと生命保険の違い

住宅ローンには、万一の際にローン残高を支払ってくれる「団体信用生命保険(団信)」がセットになるのが基本です。団信とは、契約者が死亡または高度障害となった場合、保険会社が住宅ローンの残額を金融機関へ支払う仕組みですので、遺された家族に住宅という住まいを残す安心の備えと言えます。一般的な生命保険とは保障の目的も構造も異なりますので、まずはその違いをしっかり押さえておきましょう。

例えば、生命保険は「生活費」「教育費」など家族の幅広い将来を支えることができますが、団信はローン返済に特化しており、必要以上の保障を求める場合は生命保険との併用を検討する必要があります。また、団信はローン金利に上乗せされる形で保険料が支払われ、年齢や性別にかかわらず同じ率です。一方、生命保険は加入者の年齢・性別・健康状態などで保険料が変わり、条件次第で保険料控除も受けられるメリットがあります。

項目 団体信用生命保険(団信) 通常の生命保険
保障の目的 住宅ローンの返済を目的とする 生活費・教育費など幅広い目的
保障額 住宅ローン残高に連動 契約時に自由に設定可能
保険料 金利に含まれる/年齢性別不問 年齢・性別・健康状態によって変化

上記のように、それぞれに特徴と役割がはっきり分かれています。団信は住宅ローン返済中に特化した保障として、過不足なく備えられる合理的な制度です。一方、生命保険は自由に設計でき、税制上の優遇もあります。ですので、どちらか一方に頼るより、「団信をベースに、必要に応じて生命保険を組み合わせる」スタイルが多くの方にとってバランスの良い選択になります。

団信でカバーできるリスクと残るリスクを理解しよう

団体信用生命保険(以下、団信)は、住宅ローンの契約者が死亡あるいは所定の高度障害状態になった際に、ローン残高を「全額」または「所定の割合」で免除してくれる仕組みです。そのため、住宅ローン返済そのもののリスクはしっかりと担保されます。基本保障に加えて、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や七大・八大疾病、就業不能や介護といった特約を付加することで、さらに手厚い保障を得ることも可能です。金融機関や商品によって内容や金利の上乗せ幅が異なりますので、慎重に選びたいところです。 

とはいえ、団信でカバーできるのはあくまで住宅ローンの返済に関する部分のみです。生活費や教育費、老後資金といったご家庭の実際の収支に関するリスクまでは保障されません。ローン完済後には団信の保障も消滅してしまう点にも要注意です。このため、「住まい」は守られても、「生活の基盤」まではカバーされないことがあります。 

こうしたギャップを埋めるためには、団信に加えて民間の生命保険や収入保障保険、就業不能保険などを組み合わせるバランスが重要です。保障の重複を避けつつ、必要なリスクに備えることがポイントです。たとえば、家族構成やライフプランを踏まえて、教育費や老後資金の不足をカバーするよう設計すると安心でしょう。 

区分 団信でカバーできるリスク 団信ではカバーされないリスク
ローン返済 死亡・高度障害・特約付なら三大疾病などで返済免除 該当しない疾病や事故による長期離脱時の返済不能
生活維持 住宅ローンの負担が消えることで住居費の軽減 家族の生活費・教育費・老後資金などの確保
保障終了後 ローン完済と同時に保障も終了 完済後のリスク(介護・病気・老後資金など)

リズムよく整った組み立てが大切です。まずは団信で何が守られるのかを知り、次に足りない部分を補う形で保険を選んでいきましょう。保障内容が重複していないか、無駄がないかを丁寧に見直すことが、安心の住まいづくりにつながります。

団信があれば生命保険が不要になるのか?保険見直しの視点

団体信用生命保険(団信)に加入していれば、住宅ローンの残債は万が一の場合に保険でカバーされるため、生命保険の一部を見直せる可能性があります。ただし、団信だけでは生活費や教育費といった日常の保障まで賄えないため、安易な解約は避けるのが賢明です。

まず、団信はローン残高の返済が目的であり、遺族にまとまった現金を残す機能はありません。そのため、通常の生命保険のように生活費や教育費を支える保障としては機能しません。

保障の目的団信生命保険
住宅ローン残債の保障備える(例:死亡・高度障害)場合による(特約内容による)
生活費・教育費への備え対象外対象にできる
現金受け取りの速さ住宅ローン消滅による間接的受給申請後、比較的速やかに現金受給可能

また、団信は生命保険料控除の対象にならないため、税制上の優遇が受けられない点にも注意が必要です。

したがって、団信加入を前提に生命保険を見直す場合でも、以下のような手順をおすすめします。まず現在加入中の保険の保障内容を整理し、その上で団信で重複する部分を確認し、無理のない範囲で保障を調整します。最後に、生活費や教育費など、団信ではカバーできないリスクに対応する保障を残すようなバランスが望ましいです。

住宅購入検討中の方が考えるべき保険の組み合わせ方

住宅ローンと団体信用生命保険(団信)を基盤にしつつ、万が一の場合に備えるための保険の組み合わせは、ご家族の安心を支える重要なポイントです。まず、団信だけではカバーされないリスクを補うために、どのような保険タイプを追加すべきかを整理しましょう。

保険のタイプ役割補填されるリスク
死亡保険(定期死亡保険など)団信が住宅ローン返済を免除してくれる一方、生活費や教育費を補填死亡時の家族の収入減
就業不能保険(収入保障や団信特約など)長期の働けない状態に備えて、ローン返済や生活費を補う疾病やケガによる収入途絶
疾病特約付き団信(がん・三大疾病など)特定の病気にかかった際に住宅ローンの返済を免除がんや心筋梗塞・脳卒中などの重大疾病

次に、必要な保障額を考える際には、ご家庭の住宅ローン残高や家族構成、生活費・教育費などをもとにシミュレーションすることが重要です。たとえば、住宅ローン残高に加えて、年間生活費やお子さまの進学費用なども含めて考えると、保障設計の精度が高まります。具体的には、生活費や教育費を数年分まとめた金額とローン残高の合算が目安になります。

さらに、専門家の相談やライフプランと連動させた判断もおすすめです。将来の収入見通しや想定されるライフステージの変化を踏まえると、保障内容の過不足を避けやすくなります。FPなどの専門家に相談し、ご自身にぴったりの組み合わせを見つけることが安心への近道です。

まとめ

住宅ローンを利用する際、団体信用生命保険の仕組みを知ることで、もしもの場合に住宅ローンの残債がゼロになるメリットを理解できます。しかし、団信が全てのリスクを補えるわけではなく、生活費や教育費などは別途備えが必要です。生命保険と団信、それぞれの保障内容を比較し、ご自身やご家族の生活に必要な保障を見極め、最適な保険の組み合わせを考えましょう。安心できる住まいと暮らしを手に入れるために、しっかりと準備を進めてください。

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